お見舞い袋は「場面」で選ぶ
お見舞いでいちばん迷うのが袋(掛紙)です。病気・けがのお見舞いは紅白5本の結び切り、災害のお見舞いは水引なしの白封筒、合宿や選挙の陣中見舞いは紅白の蝶結びと、同じ「お見舞い」でも場面によって選ぶものが変わります。結び切りは「二度と繰り返さないように」という願いを込めた結び方で、病気やけがが再発しないことを願う意味があります。
関係別 お見舞いの金額の相場
金額は「相手が負担に感じない範囲」で決めるのが基本です。高額すぎるとお返しの気遣いをさせてしまうため、下の目安に収めるのが無難とされます。品物で贈る場合も、同じくらいの金額帯で選びます。
| 相手との関係 | 病気・けが(入院) | 災害(火事・水害など) |
|---|---|---|
| 親・子 | 5,000〜10,000円 | 10,000〜30,000円 |
| 兄弟姉妹 | 5,000〜10,000円 | 10,000〜30,000円 |
| 祖父母・親戚 | 5,000〜10,000円 | 5,000〜10,000円 |
| 友人・知人 | 3,000〜5,000円 | 5,000〜10,000円 |
| 職場の上司・目上 | 3,000〜5,000円 | 5,000〜10,000円 |
| 職場の同僚・部下 | 3,000〜5,000円 | 3,000〜5,000円 |
職場では連名でまとめて贈るのが一般的で、総額5,000〜10,000円ほどが目安です。連名にすればお返しの負担も軽くなり、目上の方へ現金を贈ることへの気兼ねも避けられます。3名までは全員の名前を書き、4名以上は「〇〇部一同」として別紙に全員の氏名を添えます。書き方は 連名の書き方 で確認できます。
金額は、4(死)・9(苦)を連想させる額を避けるのが通例です。3,000円・5,000円・10,000円といったきりのよい額にします。中袋のある袋を使う場合、金額は「金伍仟円」のように大字(旧字体の漢数字)で書きます。
お見舞いに行くタイミング
入院直後や手術直後は検査と安静が優先される時期で、本人も家族も落ち着きません。この時期の訪問はかえって負担になるため避け、容体が落ち着いてからうかがいます。面会できる時間帯や人数は病院ごとに決まりがあるので、必ず事前にご家族に確認しましょう。
遠方に住んでいる、面会が制限されているなど直接うかがえない場合は、無理に訪問せず、お見舞い状を添えて品物や現金を送る方法があります。現金を郵送するときは、普通郵便ではなく必ず現金書留を使います。郵便局の現金封筒はのし袋がそのまま入る大きさなので、お見舞い袋に入れたまま同封できます。
広域の災害では「急がない」ことが思いやり
災害見舞いの作法には「できるかぎり早く」とあります。ただしこれは、一軒の火事や水害のように、近隣や親族の手助けがすぐ役に立つ被災を想定した言葉です。地震や豪雨で地域全体が被災したときに同じつもりで動くと、かえって相手と現地の負担になります。同じ「災害見舞い」でも、急ぐ場面と待つ場面があると考えてください。
広域の災害で気をつけたいのは、次の4点です。
- 安否確認で電話をかけ続けない。災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板、SNSを使います。一度連絡したら返事を待ちます。相手は充電も通信も限られた状態にいます。
- 訪問は求められてから。道路は救助・復旧の車両が優先です。ボランティアとして入る場合も、現地の災害ボランティアセンターが受け入れているかを先に確認し、被災自治体や社会福祉協議会へ電話で問い合わせることは控えるよう案内されています。
- 郵便が止まっていることがある。被災地域では郵便物・ゆうパックの引受けや配達が一時停止したり、大幅に遅れたりします。現金書留を送る前に、日本郵便の運行情報で宛先の地域が扱われているかを確認します。避難所暮らしで自宅に届かないこともあります。
- 物資を個人の判断で送らない。仕分けと保管の手間が現地の負担になります。相手から「これが要る」と言われたものを送るか、義援金という形にします。
避けたほうがよい品・言葉
お見舞いは縁起をかつぐ場面が多く、品選びには昔からの言い伝えがあります。相手が気にしない場合もありますが、知らずに贈って相手を落ち込ませないよう、代表的なものは押さえておきましょう。
| 避けるもの | 理由 |
|---|---|
| 鉢植えの花 | 「根付く」が「寝付く」に通じ、入院が長引くことを連想させるため。 |
| 椿・山茶花(さざんか) | 花首からぽとりと落ちる散り方が縁起が悪いとされるため。 |
| シクラメン | 名前に「死」「苦」の音が含まれるため。 |
| 白い花・真紅の花 | 白は淋しさを、真紅は血を連想させるため。 |
| 香りの強い花・食品 | 同室の方への配慮。病院によっては生花の持ち込み自体が禁止されています。 |
| 刃物類 | 「縁を切る」を連想させるため。 |
| 生もの・日持ちしない品 | 保管や食べきりの手間が本人・家族の負担になるため。食事制限がある場合もあります。 |
逆に喜ばれやすいのは、個包装で常温保存できる焼菓子やゼリー、飲みきりサイズの飲み物、タオルなどの実用品、長期療養なら気分転換になる本や雑誌です。好みが分からないときは、退院後にゆっくり選べるカタログギフトも安心です。言葉づかいでは、「重ね重ね」「たびたび」などの重ね言葉や、「四」「九」「終わる」「落ちる」といった語を避け、回復を願う短い言葉にとどめます。
災害のお見舞いでは、日用雑貨・食器などの生活必需品、新品の衣類、米やインスタント食品などが実際の助けになります。ただし何が足りているかは家庭ごとに違うため、必要なものを尋ねてから届けるのが鉄則です。特に広域の災害では、頼まれていない品を送ると仕分けと置き場所の負担が現地に生じます。中身の分からない箱がいくつも届くより、相手が名指しした物ひとつのほうが役に立ちます。
お見舞いをいただいたら 快気祝いの表書き
お返しは、退院して体調が落ち着いた頃、2〜3週間後を目安に贈ります。金額はいただいた額の3分の1から半額程度。掛紙は紅白5本の結び切りです。表書きは回復の度合いによって書き分けるのが正式で、次のように使い分けます。
| 表書き | 使う場面 |
|---|---|
| 快気内祝/快気祝 | 退院して、お見舞いのお返しをする場合。 |
| 全快内祝 | 医者の手が離れ、通院の必要がなくなった場合。 |
| 本復内祝 | 後遺症もなくすっかり快くなり、数か月経ってからお返しをする場合。 |
| 退院内祝 | 退院はしたが、まだ完治していない場合。 |
| 御見舞御礼/謝 御見舞 | 通院中で完治していない場合。病院へ直接見舞ってくれた方へのお礼。 |
品物は、石鹸・洗剤(「きれいに治った」「あとに残らない」の意味)や和菓子などの食料品が定番です。災害のお見舞いには原則としてお返しは不要で、落ち着いた時点でお礼状を出します。お返しをする場合は水引なしで「御礼」「粗品」とします。